毎度毎度、書き出しがコロナの話題で気が滅入るなと思うものの…
我が故郷の大阪が今エラい事になってます。
そろそろワクチンが出回るだろうから安心、と思っていた矢先に
本格的な第4波到来とは…
これはもう完全に押さえ込むまで油断はなりませんな、
落ち着くまでに少なくともあと1年はかかりそう…

現在の住まいの近場でも、飲食店クラスターが発生したというし、
暖かくなり始めて気が緩みがちな時期、かつ外飲みもそれなりにする
身の上とあっては、引き続き十分に気を付けて行かねばと思う。


と、暗い話題はここまでにして、本題へ。
今回のネタはスコッチウイスキー。


ベンロマック オーガニック 2011


スコットランド中北部、フォレスという町の北にある、
ベンロマック蒸留所で造られる、シングルモルトウイスキー。
蒸留所のある地域は、正確にはスペイ川流域ではないのだが、
地域別の分類では、スペイサイドにカテゴライズされている。
(実際はフィンドホーンという川の近くにある蒸留所)


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「オーガニック」と名乗るだけあって、麦を始めとする原材料の栽培から、
蒸留、そしてボトリングまで、製造工程のすべてにおいて、
英国土壌協会により定められた厳しい基準をクリアした、
手間暇のかかる逸品なのだそうな。
あまり嗜まないけど、ワインでもこういった類のものが多い印象。

加えてベンロマックというと、個人的にはスペイサイドモルトの中でも、
多少単価の高い、いわばヒエラルキー上位に位置するモルト、というイメージ。
実際手間暇がかかっているとされるこの「オーガニック」でも、
ベンロマックの中では比較的安価な価格帯に位置する1本なのである。


そんな名蒸留所の手掛ける、こだわり抜いたウイスキー、
多少お手頃価格でも美味しくないということはなかろう…
いや、でも造り方自体にこだわり過ぎたあまり、肝心の味が…
というパターンも無きにしもあらず…
と逡巡する読者の方もいるだろうので、そろそろこの辺りで
レビューに移ることに(筆者もどちらかというとそう思ってしまうクチw)


まずはストレート。

麦の甘い香りに加え、カカオ、あるいは深く煮出した紅茶のような、
コクのある香りがメインに感じられる。
オレンジを思わせるフルーティーなニュアンスもあり、
全体的に芳醇、甘く優しい、スペイサイドらしい香りだ。

一口含む。トップの味はやや硬い印象。
香りでも感じられた、紅茶、ビターチョコを思わせる、芳醇なコクがあるが、
渋みもそれなりに感じられる。
中盤からは、オレンジピールのような甘苦さを経て、若干のスモーキーさ、
ソルティさを感じてフィニッシュ。
香りの優しさに比して、多少ハード・硬派な味わいという印象。


続けて少量加水してみた。

香りの方は、麦の甘さ、そしてオレンジを思わせるフルーティーさが
更によく香るように。
生姜のようなスパイシー成分も新たに顔を覗かせ、
より複雑で芳醇さが増す香りに変化。

コクのある、甘く力強い味わいはそのままに、
ストレートの時に感じられた多少の苦みが、若干抑えられ、飲みやすくなっている。
それのみならず、香りで新たに出てきた、生姜・ジンジャーのようなスパイシーさが、
味でも目立つようになり、飲み応えの増す味わいに。
加水により味の硬さは取れ、角のないまろやかな舌触りになる印象を受ける。


最後にロック。

オレンジのフルーティーさと、皮を感じさせる苦さ、
そしてジンジャーやナツメグ、ターメリックを思わせる、スパイシーな香りが
強調される印象。
一方で、これまでの飲み方と違い、甘い香りがあまり感じられなくなり
この変化がまた面白い。

味は、トップに紅茶のようなコクと、甘いフレーバーがあり、
お洒落な味わいという印象を受ける。
中盤からは、香りでも感じられる、ジンジャーのようなスパイシーさ、
そしてオレンジのようなフルーティーさも立ち上り、
全体の味に深みを与え、こちらも飲み応えのある味わい。


流石名門の蒸留所だけあって、こだわり抜いた生産法と味のクオリティを
両立させている印象。全体的に飲み応えがあり、じっくり楽しめた。
筆者おススメの飲み方は、加水、またはロック。
多少邪道感はあるかもだが、ハイボールにしても、
オレンジやジンジャー感のある味わいが炭酸にマッチして、悪くない印象だ。

ついついアイラモルト系に走りがちな筆者だが、
たまにはこういったテイストのウイスキーも飲んで損はないな、と感じた。


味:★★★★(フルーティーでコクと飲み応えある、レベルの高い味わい)
入手難易度:★★★(取り扱いに偏りあるも、通販では比較的手に入りやすい印象?)